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報酬主義をこえて
モチベーションについて考えていくと必ずこの一冊に突き当たるのではないか。そのように確信させられる一冊がこのアルフィ・コーンの「報酬主義をこえて」です。
私たちが仕事をしなければならないのは、外発的な動機付けによるものなのでしょうか、それとも内発的な動機付けによるものなのでしょうか?この外発的な動機付けというのが、つまり報酬主義です。ニンジンをぶら下げられ、ムチ打たれて仕事をさせられている。月曜が憂鬱で金曜がハッピーという価値観の根底にあるのは、この報酬主義です。
仕事をさせられている、雇われている。仕事をしなければ暮らしていくことができないから仕方なくやっている。できれば仕事はしたくない。このような考え方はあまりにも一般的であるがゆえにあまり誰も疑問をもちません。
これから働き出すという人にしてもそうでしょう。学生の頃の自由が失われ、自分の時間がもてない。友人たちも忙しくなって今までみたいに会うことさえままならない。などなど。事実私も働き出す時に感じていた鬱屈を思うと完全にこの報酬主義にとらわれていたと言えそうです。
このように仕事に対してネガティブに捉えてしまう原因がつまり報酬主義なのです。コレをしなければアレがもらえない。アレをもらうためにコレをする。どちらにしても動機というものをアレに左右されてしまっているわけです。
この報酬主義は、しかし、仕事に関することだけに留まりません。私たちが生まれ、育てられ、教えられるのがこの報酬主義だからです。子どもに言うことを聞かせる。勉強させる。親が考えるこれらのことは子どもというものはそもそも不完全なものだから、そうさせなければならないと決めつけていることが原因しています。
そうではないのです。子どもは自ら育ち、学び、成長していくのです。親が「成長させた」わけではなく、子どもが自ら「成長した」のです。これが誰かがどうこう言うからという問題ではありません。これこそが自発的な内発的な動機によるものだからです。
報酬主義の問題はどこにあるでしょう。代表的なのは、アレをするとコレがもらえるという時、関心がアレに移ってしまうということです。給料がもらえるから言われたことをする。何をするかは問題ではありません。どうするかも問題ではありません。とりあえず言われたとおりにしていれば給料はもらえるわけですから。
しかし、本当に大事なのはそれをどのようにするのか、そもそも何を解決するのか、成し遂げようとするのかということです。報酬づけられるとそのようなことを考えなくなるというわけです。
On page 195:
仕事を「苦行」ー必要なものを買うためにしなければならない不快なこ と、目的のための単なる手段ーとして捉えるならば、それは間違いだとい うことである。人間は生きるために働くばかりでなく、働くー食物を育て たり、ものを作ったり、問題を解決したりしてーために生きもするのだ。
著者のコーンは「仕事と給料を切り離す」ことを目指していると言います。もちろん現実には「暮らしていくために働かざるをえない」のは事実ですが、だからといって働くということをそのように捉えてしまうこと自体が日々の満足度、幸福度を下げてしまっているのもまた事実です。
目の前の現実をねじまげてポジティブに捉えようということではありませんが、私たちが前提としている考え方、価値観というものがどこに由来していて、本来そうではなくどうあるべきかということを知ることは大事です。
また、内発的な動機付けを損なう教育であったり、社会慣習であったり、そこを改善しなければならないのは言うまでもありません。
以前に記事にも書いたダニエル・ピンクの講演も是非あわせてどうぞ。
モチベーションは報酬にあらず!? 新時代のアプローチが世界を変える « When you were young
この本を読むきっかけを与えてくれたこちらのエッセイも。
生産性だけ上げても意味はない 〜 減らす技術 The Power of LESS
効率や生産性、それは青天井でありません。なぜなら時間には限りがあります。もちろん人間の能力にも。にもかかわらず効率を追い求めて自分で自分を追い詰めているのが現状ではないでしょうか。
そんなおりにテクノロジーの増大によって増えた仕事をテクノロジーによって駆逐するという考えが出てきて、一気にライフハックというブームが起きたようなところがあります。
しかし、減らす技術 The Power of LESSでレオが言うように「生産性だけ上げても意味はない」のです。
生産性だけ上げても意味はない
世間で紹介されている「生産性を上げるコツ」には、順序があべこべのものが少なくない。何をすべきかを考えるより、とにかくなんでも手早く済ませることに終始している。
売りになっているのは、急ぎのタスクを一気にかたづけるワザや、洪水のように襲ってくる仕事や情報を次々とさばいていくテクニック。
しかし、そんなやり方では、飛び込んできたものを何もかもやるはめになってします。これでは仕事や情報の洪水に足をとられてしまうだけ。つまり、他人のニーズや気まぐれに翻弄されるだけなのだ。
そうならないためには、何をするにもまず「本質に迫ることはなんなのか」を自問すること。どのEメールに返事をすべきか迷ったときも、タイトな予算で今月は何が買えるだろうかと悩んだときも、デスクの上や家の中をどうかたづけようかと途方にくれたときも、「本質に迫ることはなんなのか」をまず考えてみほしい。それでこそ、ものごとが正しい順序に整う。(P.44より)
「本質に迫ることはなんなのか」を問うことによって、無駄に時間を浪費してしまうことを避けるべきだということです。しかし、本質を知ることというのは言葉で言うよりも非常に難しいことです。
しかし、本書には原則をうたうだけでなく、いかに実践していけばいいのかについて非常に綿密に書かれています。どうやっていけばいいのか?ポイントはどこなのか?やることのメリットは?とにかくリストアップしていってこれでもかとたたみかけてくるのです。
このリストを見ているととにかく実践しなくてはらない、やってみようという気になります。著者のレオのパワーがそうさせるのでしょう。実際、体験談としても語られるシンプルな生き方の素晴らしさは他にはないものです。
とくに自分は健康管理、エクササイズの項を興味深く読みました。なにはともあれ健康が一番、そういうところも本書の爽やかなところです。
「イノベーションのジレンマ」を読んで
イノベーションのジレンマを読み終えました。一見とっつきにくそうな本ですが、面白いのなんの。一気に読み終えてしまいました。頭の中で著名な企業や自分の会社を思い浮かべながら読むとあれもこれが全てスッキリと腑に落ちるのです。
中でも第四章の「登れるが、降りられない」や第六章の「組織の規模を市場の規模に合わせる」が面白く読めました。
資源配分プロセスの話も面白く、例えば中小・零細のウェブ制作会社であってもメインとなる顧客がいて、そこの売上げ比率が高いとなれば、提案を持って行くのも当然そこになり、それ以外の利益率の低い顧客はあまり重要視されません。なので、結果としてますますメインとなる顧客に依存するようになり、そのメインの顧客がこければ共倒れということになるわけです。企業のなかでの価値基準がひとつしかないと当然そうなるということです。
引用をひとつ。日本語版刊行にあたってのクレイトン・クレステンセン教授から。
(イノベーションのジレンマを受けて)各企業が行き詰まるなか、社員は業界をリードする大企業を辞め、ベンチャー・キャピタルから資金を調達し、市場の最下層に攻め込む新企業を設立し、徐々に上位市場へ移行し、こうして歴史は繰り返している。個々の企業が市場の最上層で行き場をなくし、やがて衰退するとしても、それに代わる新しい企業が現れるため、米国経済は力強さを保っている。これは日本では起こり得ないことである。企業の伝統から、経験豊富な技術者が大企業を辞めることがほとんどなく、また、新企業に出資するような金融市場のしくみができていないからだ。本書の理論から考えて、現在のシステムが続くなら、日本経済が勢いを取り戻すことは二度とないかもしれない。
本書から受け取るメッセージでこれ以上のものはないのではないでしょうか。かつて破壊的イノベーションで市場を開拓した日本のメーカーの事例も多々出てくるにもかかわらず、日本は盛者必衰はあっても、輪廻転生がないと受け取りました。
第一部 優良企業が失敗する理由
第一章 なぜ優良企業が失敗するのか―ハードディスク業界にみるその理由―
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
第四章 登れるが、降りられない
第二部 破壊的イノベーションへの対応
第五章 破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
第七章 新しい成長市場を見いだす
第八章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
第九章 破壊的イノベーションのマネジメント―事例研究―
第十章 イノベーションのジレンマ―まとめ―
情熱と能力と価値
扱っているテーマが自分の関心と被っており興味を持って手にとったところ、引き込まれて一気に読んでしまいました。明快な文章と時折挿入される和み系のイラストで思考の流れを整理することができて、とてもすっきりとしました。
人生というのは選択の連続です。どの仕事に就くのか、誰と結婚するのか、どこに住むのか、などなど切りがありません。しかし、どの選択が最善であったかということは結果からしかわかりません。「あの時、あっちを選んでいれば・・・」というのが常にあるわけです。後悔というやつです。
本書ではいかに後悔しない選択をするかということを色々な角度からまとめてあります。
まず、二者択一的な思考になっているときは注意しなければならないということです。そうした時は近視眼的になっている可能性が大きいからです。もう一度真の目的とは何かということを問い直して選択肢を見直す必要があります。
また、真の目的は自分の価値観とビジョンから構成されるというのにも納得させられました。
価値観というのは自分が良しとするものの見方です。結局はそこから辿っていって、選択肢が正しいことを自分に納得させるしかありません。
あらゆる選択に対して、自分の価値観を明確にしておくことが大事で、そこから自分の情熱を傾けられる何かを見つけ、他者に価値を認めてもらえるように能力開発に取り組むことなのかと思います。
人生の目的とは?
目的というものを考え出すと結局答えが出ずに袋小路にはまってしまうことがよくあります。なぜそうなるのかというと結局のところ人生に目的はないからなのかなと思ってしまいました。目的はあるものではなくて、作るものだということです。何のために生きているのか?という問いに対する答えはあらかじめ存在するものではありません。自分で答えを作るべきものだからです。
そうやって突き詰めて考えていくと人生の目的とは「人の役に立つことをする」ということなのかと思うに至ります。そういうところで自分の情熱と能力を使うことができれば、きっと価値あることなのかなと。
著者のブログはこちらから。
発想七日!:ITmedia オルタナティブ・ブログ
また、本書の内容はこちらから読めます。
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